ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

こわい人

私は心のどこかで「まあ、どうせマイノリティだし」と思ってる。

別に性的にはノーマルだし、生まれ的にものすごく普通で、真っ当に育って、真っ当に納税して、真っ当に生きてて、全然社会的にはみ出したりはしていないんだけども。

 

「わたしってー、変わってるってー、よく言われるんですう」って言う女をDisる傾向がある世の中ですけども、本当に変わりもの扱いを受けたり、人と話してて「おや? …どうも何かが違うようだ…」というのは、正直肝が冷えても誇らしい気持ちになることはない。

 

…とか言ってアレですが、実はわたしは「変わってる」とはあんまり言われない。

「恐い」「どうかしている」「だってあんただし…(諦めムード)」「圧がある」「怖い」「つよい」「邪悪さが漏れでている」こんなのばっかりである。

元夫が私の家に結婚の挨拶をしにきたときに父が「うちは4人も子供がいてね…みんな同じように育てたはずなのに、この子だけどうも違う」と言い、元夫は「ええ、わかってます!」と嬉しそうに言った。なんなのその会話。

 

20代のころは「しっかりしてるね」と言われまくった。が、30代になるとしっかりしてるのは当たり前なので言われなくなり「こわい」とかばっかり言われている…。

いや、自覚してますけど…。自分はそう簡単に変えられないので、少なくとも人を傷つけないように気をつけながら生きています…。

「そんなことないよ! やさしいよ!」と言ってくれる方、嬉しいです。ありがとうございます。

 

それでよく言われる、そして自分でもたまに思う「こわいひと」ってなんだろうなあと考えている。

私は153センチの女で、見た目は全然怖くない。むしろ小柄。

見た目は全然こわくない。

空手を始めてわかったのは、フィジカルの差についてだ。

男性の肉体はどんなに小柄でも痩せてても、骨の密度と筋肉の質が違う。たとえ同じくらいの背丈であっても、手首を握ればその差は歴然としていて男性のほうが強いのだ。

たとえどんなに強気な性格をしてても、人気の無い夜道で知らない男につけられたら怖い。自分は、小さい生き物なのだ。とはっきりよくわかった。

 

なのになんで私はこわいと言われるのか…。

別にわたしは人を威嚇したり脅したりマウンティングしたりしない。自分がされたくないことは絶対にしない。理不尽に怒ったりもしない。

ただ、思ったコトは言う。正直にいう。

納得できないことは絶対にやらない。

…あと説教もする…(´Д` )。立場的に言うべきときは、だけど。

一応言葉も選んでいる。内心「何ふざけたこと言ってんだ、寝ぼけるのも大概にしろ」と内心思っていたとしても「そういうのは違うんじゃないかな?」とかかわいく言ってる…つもり…。

 

しかし、こわいって言われるのはうれしくない。こわくないほうがいいに決まってる。

だからと言って「じゃあ、しおらしくして黙ってろ」という人が私にいたら、たぶんわたしは「うるせえ」と言うだろう(いないんだけど…)。
言いたいことは言いたい。というか黙ってられない。気が付いたらだいたい言ってる。我慢してても最終的には言う。

もともと、私なんかになにか言われても全然効果無いだろう、とも思っていた。これはまた末っ子根性だと思う。歳の離れた姉達は大人の世界にいて、自分の言うことをちゃんと聞いてくれるようになったのは随分後になってからだった。だから無意識に「自分は影響力などない、おミソである」というのがすり込まれていたと思う。

 

言いたいことは相手が誰であれはっきりは言うけども、そんなわたしなんかの一体何がこわいんだろう……? とよく考えていた。

 

前に住んでた部屋は1階で猫がたくさん来る部屋だった。

そこにどこかの家猫の「クッキーさん」という猫が遊びにくるようになった。この猫の人を籠絡するスキルの高さはすごかった。

そして、猫が出入りするようになると、猫の臭いがあるのか、野良猫も家にやってきた。クッキーさんは首輪もしていたし、家の中での過ごし方もすごく行儀がよかったので部屋に入れていたが、野良猫は入れなかった。

が! 何匹も来る野良猫の中で「ブチオ」と名付けた猫だけはしつこかった。そして、ずっと網戸に手をかけて何時間でも鳴いた。

あまりのしつこさに、クッキーさんのために取っておいたご飯をあげてしまった。すると、ダメなDV男みたいに何度も来るようになり、しつこくしつこく窓を叩いて鳴いていた。しかも相手は野良猫。何度かおやつを出す時に猫パンチも食らった。

おやつさえ与えなければ来なくなるのはわかっていたのに、私はこの猫がこわかったのです…!

何時間でも鳴き続けるすさまじい執念深さと、目つきの鋭さ…。私は猫に意志の強さで負けていた。

 

あっ…こわさにフィジカルはかならずしも関係ないんだ…!

 

と、そのとき気が付いた。

どう考えてもこちらは人間様である。相手は猫。体格差で言えば圧勝できる。猫に殺されることなんかありえない。つまり生命の危機は脅かされることはない。

でも、この執念深さが怖かった。あと、猫パンチで死んだりケガしたりはしなくても攻撃されるのもイヤだった。

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※執念深いブチオさん。ここで何時間もねばる。こわい。

 

なるほど…。

つまり、私の体が相手よりも小さくても、社会的に立場が下でもそんなのは関係ないんだ。「決して折れない意志の強さ」を見せつけられると、たじろぐのだ。

そして「この人こわい」と思うのだ。と納得した。

 

なので、最近は「こわい」「つよい」と言われると

「ああ、私はブチオさんみたいな感じなのね…」と思うようになった。

でもブチオさんはこわいばかりで全然かわいくなかった…………!

わたしはできれば、小悪魔なクッキーさんがいい。

でも、クッキーさんもものすごくしつこくて意志の強い女だった…。しかしかわいげもあって人に愛されることに長けていた。

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 ※よそのうちの飼い猫であるクッキーさん。人の上に乗るのが得意。

 

私もどうやっても言いたいことを言わずに生きて行くことはできないので、自らを抑圧することなく、長所を伸ばし、どうにか「愛されスキル」をプラスする方向でやっていきたいと思っている。

弱きを助け強きをくじき、言った分の責任はとり、有言実行で誠実に生きていきたい…。それなら多少こわいって言われても、いいかなと思うので。