ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

事実婚で「パートナーの医療行為の同意」はできる

※(2021年11月追記)
「選択性夫婦別姓」の陳情や「困りごと」の中で「医療行為の同意ができない」と訴えかける人に対し、この記事を根拠に「嘘・デマ」という方がいらっしゃるようです。

実際に「事実婚を理由に、医療行為の同意をさせてもらえなかった」という方はたくさんいます。この記事は病院で、医療行為の同意ができなかったときに「法律的な根拠はない」と反論するために書かれた記事です。
事実婚を理由に医療行為の同意をさせてもらえない病院」というのは、実在します。「困りごと」の解決方法は様々ですが「困りごと」の存在自体を否定するものではありません。
婚姻時に別姓が選択できないことのデメリットは多く、医療行為の同意で揉め事が起こる可能性があるのはそのデメリットのうちの一つです。
選択性夫婦別姓については、早々に法制化されることを望んでいます。

以下本文(2018年6月30日更新)です。

 

お久しぶりです。
事実婚についてとか結婚、夫婦についてとか、発言する機会が最近増えてましてありがたいことです。
ブログを書くチャンスが中々ないのですが、最近インタビューとか原稿依頼とかで「事実婚のデメリット」にあげられがちな「パートナーの医療行為の同意が事実婚だとできない!」という問題について語ることも多いのですが、量的な問題でちょっと触れてるだけになってたりするので、その問題だけについてもうちょっと詳しく書こうと思います。こちらと重複してるところもありますが、両方合わせてお読み頂けると幸いです。

被ってるところがあるのは現代ビジネスさんの記事です。

gendai.ismedia.jp

 

事実婚はパートナーの医療行為の同意」はできないのか?

これについて最近調べようと思ったのは、事実婚の方が意識不明で運ばれたときに妻が同意のサインをさせて貰えなかったという話を身近なところで聞いたからです。
とはいえ、その方は同意無しのまま人命優先のため治療されて今は健康を取り戻しています。

事実婚のデメリット」としてよく言われる「サインできない」問題。

やっぱり事実婚だと医療行為の同意はできないのか…。
って思ったんですけど、でもその根拠って何? なんで??
と私が思ったのは事実婚でも骨髄ドナーのときに「家族の最終同意」にサインができたからです。

うちのパートナーは骨髄ドナーになったことがあります。
その時に「最終同意」をするとき、家族もサイン・捺印する必要があります。
最終同意のときには弁護士さん、骨髄バンクのコーディネーターさん、説明の医師、本人、家族代表が全員揃って同意書にサインするんですけど、それは問題なく事実婚でもできたわけです。

それは本人に意識があって「この人が家族の代表です」って保証してるからなのかな〜?
何が違うんだろう……って思ってたのですが、調べてみたら………。

医療行為の同意権は、そもそも本人にしか…なかった!!!!!!!

 ※この辺、現代ビジネスさんの記事と被ってますから、読んだ人は飛ばしてOKです。

www.2chopo.com

こちらのサイトによると……

 ●医療同意権は一身専属、夫婦でも代理できない
じつは、たとえ婚姻した男女の夫婦でも、法律上は相手の医療行為への同意権はない、とされています。医療行為への同意権は、「一身専属」とされているからです。
一身専属とは、他人がなりかわることができないということ。身分にかんすることは一身専属です。他人のかわりに結婚するとか、他人にかわりに養子になってもらうなどはできません。
身分事項以外では、たとえば慰謝料請求権は、原則、ひどい目にあったその人だけが請求できるものとされています。医療同意権もおなじで、手術を受けるかどうかを他人がかわりに決めることができない、と言われれば、そりゃそうだ、とわかるでしょう。夫婦間であっても、それはおなじなのです。

 事実婚だから、とか成年後見人だからとか、全然関係なかった!!!
そもそも、医療行為の同意権は法律婚してようが、親子だろうが、無いんですって〜〜〜。

でも、「病院などでは実際には医師が家族に病状を説明し、治療について家族から同意を得て進めているではないか」とおっしゃるでしょう。
それは家族がかわりに同意しているのではなく、「家族なら本人の医療についての意思をよく知っているだろう」「家族の話によれば、本人はきっと同意するだろう」という推測にもとづいた、あくまでも「グレーな措置」にすぎません。くり返しますが、法律上、家族だからといって医療同意権があるわけではないのです。

ぐ、グレー!!!!
そもそも全員、グレーだった!!

とはいえ、本人に意識がない場合は本人が「そのまま死にたい」と思ってるか「助けて欲しい」と思ってるかわからないから付き添いがいなくても病院に運び込まれたら医療行為は受けられます。現状、人命が優先されるからです。
本人の意志がわからないからといって手遅れになるようなことはあってはならないし、その場合は同意無しで処置を進めて、後から説明をするそうです。

骨髄ドナーの家族の同意に関しては、あくまでも「家族の同意」であって、「医療行為の同意権」とはまたちょっと違うわけですが、それでも「家族」が医療現場で「事実婚はダメ」とは扱われてない、ということなんですよね。
じゃあなんで「事実婚だと同意書にサインできない」なんてことがあるんでしょうか…?

と思っていたら、医療の現場で働くお医者さんが教えてくれました…。

知人の医師と、私が「なんでなの〜」とSNSで発信していたら事実婚をしている救急医の方が、わざわざメッセージを下さって教えてくれました……!

基本的に「事実婚だからサインできない」なんてことは、無いそうです。

 

無いんだって〜!!!!


ただ事実婚なんですけど、サインできますか…?」とか「私、サインしていいんでしょうか」っていう態度の場合「じゃあ、別の方に」ってなることがある。

ということらしいです。
現場としては「誰がこの患者の意志をわかっているのか」が大事なので「事実婚だから…」と引け目を感じてるような人だと「この人は患者の意志を理解してる人じゃない?」「トラブルがあるのかも?」とサインさせないことがあるらしいです。

 

なので「私がパートナーで、私がパートナーの意志をわかっています!」というそういう態度が必要…ってことなんですね…。

 

ちなみに、不安な人は「パートナーに医療行為の同意権を認めます」っていう公正証書を作ったりするそうなんですが、正直意識不明の患者になった場合、現場で公正証書出すようなこともほぼ無いし、そもそも「親権者」とか「法律婚してる夫婦」でも現場で戸籍謄本だして確認することも、無い…ということです。

…そういえば、病院に戸籍謄本だすとか聞いたことない…。

 

で、実はこの辺の話しは「全国的な実態は、調査されていないのでブラックボックス」なんだそうです。そもそも事実婚家庭がどれくらいあるのかとかの調査もないということで…。
最近は介護問題で認知症になった人に対して「成年後後見人に医療行為の同意をさせていいのか(現場ではさせている)」ということで話題になったりはしているようなのですが、現場では「人命優先」という動かしがたい事実の前にグレーのまま運用されているようです。

 

ちなみにうちは母子別姓事実婚実践中ですが、夫は骨髄ドナーで入院して、息子は鼠径ヘルニアの手術をしているので「医療行為の説明」「同意書にサイン」を両方経験してます。

で経験からいうと「うちは事実婚なんで名字が違います」と説明するだけで、それ以上問題になったことがない。ということです。

息子についていえば「事実婚なんで母子別姓ですが、親権者は母です」と説明して、別に「じゃあサインは親権者の方に!」と言われることもなく父親の名前でもサインできました(先に勝手にどんどん母も父も色んな書類にサインしてただけなんですけど)。

 
医療の現場からの声だと「事実婚なのでサインできないほうが稀なケースなのでは」。ということでした。病院や地域によってケースは異なるとは思うのですが、そもそもの「医療行為の同意権」というものの根拠を考えると「事実婚だから同意できない」ということは、無いというのが今回わかったことです。

医療現場は基本「実態重視」です

私は自分が家族の医療行為について同意のサインを経験しているので「できないなんておかしくない?」と思えたんですが、世間でよく事実婚のデメリットとして「医療行為に同意のサインができない」と言われることも多いので「できないんだ…」と思ってしまうことがある。そしてむしろそれが原因でサインできない事態を招くのではないかと思いました。

確かに「遠い親戚が文句を言ってくる」とか「事実婚に納得してない実両親が横やりをいれてくる」とかそういうトラブルはあるかと思います。そういうのがイヤだから病院がサインさせないっていうこととかはあるかもしれない。
とはいえ、じゃあ血族に「同意権」があるのかというと、実は無いのでそういうのは実は法的な意味合いは無い「ノイズ」でしかないという…。
つまりそういう親戚がいたとしても「あんたらに口だしされる覚えはない」ときっぱりサインした本人が言えるなら、病院に関しては問題ないってことなんですよね。

そういう「義実家・親戚問題」って、別に法律婚しててもあるし…。
ただ、法律婚してるとなんとなく「法的に約束されたパートナーが一番優先される」っていうムードがあるだけで、確固たる法的根拠があるわけじゃないんですって…。

 

もちろんなぜか事実婚に冷たい待遇する病院は実在するのですが、それは「医療行為の同意権」についてわかっていない、無知による「差別」だと思います。

お医者さんだから、医療従事者だからといって「法律」に詳しいわけじゃないし、仕組みを理解してない人はやっぱりいるみたいです。

ちなみに「やっぱり心配」という人は防衛策として「歳をとったらお互いの受診の時について行って、医師と顔見知りになっておく」とのこと。とはいえ、年をとってなくてももしもパートナーが大きな病気になったら、付き添いますよね。事実婚はやっぱり「事実の積み重ね」なので、そういう「家族としての行動」は大事だなあと思います。

 

いつも私は「法律婚はおまかせ安心パック」で「事実婚はカスタマイズプラン」って言ってるんですが、法律婚してたらこういう「医療行為の同意権」が家族にあるのかどうか、とかって全然気にしたり調べたり疑問に思ったりしなかったと思います。
法律婚してたとき、離婚するときに「全然結婚のこと何も知らないじゃん!」って思っていて、それで事実婚で行けるとこまで行ってみようと思って、今事実婚しているんだけど、一つ一つのことを確認していくような作業は面白いです。

 

というわけで、事実婚の懸念事項だった「パートナーが意識不明のとき、どうしたらいいの?」問題、「事実婚の方は…」とかもしも言われたときには「私がパートナーだ!!(ドヤ!)」で解決ってことで。

もしもそれができない病院に当たったら、私は全力で戦おうと思います。