ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

パートナーがキレなくなった話を書きましたが、人によっては閲覧注意です

こちらのブログはお久しぶりです。
新刊が出ました。

 
このマンガは今、幻冬舎plusで連載しております。

毎週木曜日と日曜日に更新されています。

全話無料は期間限定です。更新が終わると一部無料になります。

www.gentosha.jp

 

バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生!ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉め事あるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する?などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。

 

という、事実婚で共働き夫婦の日常を綴ったエッセイコミックとなっています。
家事をシェアして男性が炊事をすること、女性がキッチンに立たないことに対してのアレコレや、自分達の内面についてジェンダー観などを含めて綴っています。
我が家の事情を書いたエッセイなので、家事育児を分担するための「HOW TO本」ではありません。

夫婦の家事分担における「あるある」もしくは「ないない」話を描いています。


そして結論としては「話し合おう」「話し合わないと相手の考えはわからない」という感じの内容になっていると思います。

 

内容としては
「家事シェア編」
「育児シェア編」
「ケンカ編」

の3部構成です。

 

昨日の日曜日に「育児シェア編」の9話が更新されました。

www.gentosha.jp

12話と13話が「ケンカ編」です。
なので、このまま予定通りなら3/24には最終話が更新されます。

それでその最終話なのですが、これは書いてるときから「人によっては閲覧注意ではある」と思っていました。自覚はあった…のですが、受け止め方は人それぞれなので、読者に任せてみよう。と思ってそのまま出しました。

でもやっぱり、かなり早い段階で書かれたAmazonレビューなど、各所での感想をみたら「あ、やっぱりそういう人はいますよね」ということがありました。

この最後の章は、パートナーであるノダDが「キレる自分を改めた」という話です。

結果的に私の中では「いい話」なんですが、これを書く上ではどうしても「キレる夫」を描写する必要がありました。
タッチもタッチだし、結構マイルドに描いたつもりではあるのですが、やはり「男性が怒鳴る」という表現にトラウマがある、フラッシュバックが起こる等、問題の真っ最中の人にはキツイ表現になっているようです。

 

なので

「男性が理不尽に怒鳴っている」というシーンを見て、自己の体験が呼び起こされてしまう人は読む前に、充分警戒して読むか、または読むのを控えることをオススメします。

 


最終話が公開されるより前に、注意喚起のためにこのブログを描いてるのですが、マンガの表現については本当に人によって受け止め方が違うんですよね。

ameblo.jp


お友達である大貫さんがレビューを書いてくれたんですけど、大貫さんはあのエピソードが面白かったと大ウケ。
たぶん、私がただの「被害者」だったり、被害者であると描いたら全然笑えないと思うのですが、実際ちゃんとカウンター入れてますので、笑ってもらったほうが嬉しいかも。
とはいえ、人によってそんなに違うものなのか〜〜と表現の受けとめられ方については難しいものだな〜と思います。だからやっぱり、ある程度読者に任せる必要があると思っています。

「家族のために自分を変えられる」というところで感動した…という意見も複数頂いております。私も「変わることができるのってすごい」と思って描いてます。


でも「男性が怒鳴ってる」というシーンを見るだけで辛くなる人は見ないほうがいいです。

 

 

 

ということで、話は終わってしまうのですが。せっかくなのでこのエピソードを描いたことについて描いてみます。

以下は「どん家事」のネタバレも含みますので、未読でネタバレしたくない方はここで止めるか、読んだ後にどうぞ。

 


私がなぜこのエピソードをマンガを描こうかと思ったかといえば、これは我々夫婦において大変重要な出来事だと思ったからです。


はてなブログで描いている「マイル日記」では、パートナーは「育児に積極的なお父さんキャラ」として描いています。

salucoro-mile.hatenadiary.jp

これはもちろん本当の姿で、1ミリも盛ってない。
なぜ「マイル日記」を盛らずに描いているかといえば、あれは私が老人になってから読み返すためのガチの成長の記録だからです。バズも狙わず、ひたすら己のためだけに描いております(そうでないと毎日描くモチベーションが続かないからなんですけど)。

家事育児を積極的にするパートナーは私にとって素晴らしいパートナーなのですが、かといって我々夫婦になんの問題もないのかと言えば全然そんなことはなかった。

「完璧じゃないからこそマンガのネタとして素晴らしい」と我がパートナーは言われることがあります。
前著でも「不妊治療代が無い」とか「保活やらない」とかいくつものやらかしをネタにさせてもらっています。

目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで

目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで

 

確かに、完璧なパートナーのマンガなんか、別に読みたくないというか、面白くないですよね…。 面白くするためには盛らないけど、事実を面白くなるようには描いているつもりです。

 

今回、夫婦の「分担」をテーマにしたエッセイで「こうやってうまくいきました」ということを描くなら、自分達夫婦にとって一番問題だったことをどうやって乗り越えたのかを描かないといけないと思いました。

 

最終話に関してはネームは何回も書き直しをしました。軽く描いたら問題が伝わらないけど、描きすぎるとそれはそれで伝えたいことが違う印象を持ってしまう。他の回よりも多くのページを割いて最終話を書きました。

ここに描かれていることに対して「DVだ」「モラハラである」ということに対して「違う」とは言いません。しかし私がその状態を「ケンカ」や「キレ」だと表現することを事態を軽く見ているというのは「必ずしもそうとは言えない」と思います。

なぜなら、この状態を改善できないなら、私は離婚する。と突きつけたからです。 
DVの被害が深刻化するのは「別れられない」からだと思います。しかもそれが「怖いから」だったり、その先が不安だったり…と。我が家の場合はそもそも離婚が簡単な「事実婚」です。これは相手への「信頼関係」がベースで成立する関係なので、それが崩れれば即、別れることが可能です。離婚届けもいりません(もし、離婚の場合は前妻との子と同じ条件で我が子にも養育費払ってもらおうと思っています)。

それまで私は彼の「キレる」ことに対しては、ある程度「改善」すると見込んでいたし、許容もできていたのですが、「限界」に到達してしまいました。
我々には「我慢しない」「できないことは無理にしない」というルールがあります。なので「私はもう許容するのは無理です」とハッキリ通告したのです。

 

我がパートナーは「理不尽にキレる」「怒鳴る」という一面だけ見れば、DVモラハラ男と同じかもしれませんが、同時に「相手の話を聞くことができる」人なのです。

そして、私にとってこの人をパートナーに選んだ最大の理由が「話を聞くことができる」というところなのです。

話を聞くことができれば、欠点を理解し改善することができます。

もちろんこのエピソードの前にも、数々の改善と修正を積み重ねています。
そして、実際に彼は私達にとって一番大きな問題を改善してくれました。
それによってこの話は私たち夫婦にとっては「妻側がDV被害を受けた」という話しではなくて「大きな問題を2人で乗り越えた」という話しになりました。

問題真っ最中だったらマンガにして描くこともできなかったわけですが…。

 
現在、本当にパートナーはキレません。


「キレたら二度と一緒に旅行に行かない」という約束なのですが、以前はキレやすかった海外旅行でも全く怒らない。4歳児の息子があまりにグズったり、面倒なことを言ったりして私のほうが「ムキー!」ってなる時でも、全然怒らない。すごい。あまりの変化振りに驚いています。


本人曰く「怒らないことを目的にすれば、そのように思考を持っていける」とのこと。
以前は自分が好き勝手に感情を発露していることに対して、全く問題だと思って無かったし加害性にも無自覚だし「怒って当たり前」としか思ってなかった。なので、もちろん改善することはなかった。でも「人を傷つけたい」と思っていたわけじゃないんですよね。むしろ、人を傷つけることは望んでいない。
今は自分の加害性を自覚して他人を傷つけない選択をしている。

 

かといって、このマンガは「私達にはできた! さあみんな話し合って問題解決しよう」という趣旨のマンガではありません。「エッセイ」はあくまでも、私達の体験談です。そりゃ話し合いで解決できればいいんですけど、自分で変わるとか、そう簡単にできることではありません。

問題が深刻化しすぎてる場合、深刻化する前でも自分だけでは解決できないと思ったら、プロの手を借りることも必要だと思います。

このマンガの発売記念で、本屋B&Bにて犬山紙子さんご夫婦と、我が夫婦で対談させて頂いたのですが、犬山さんの家は犬山さんのほうが怒りっぽいタイプだったので、犬山さんが自らカウンセリングに通って問題を改善したというお話をしていました。


我が家はパートナーが「話を聞けるタイプ」だったのと、夫婦でそろって空手をやっていた関係で、空手上段位者である私が後輩である夫の問題を「指摘して改善するという土壌ができていた」ことなど、我が家のバランスがありました。
問題を解決する方法はその夫婦ごとにあります。逆にいえば全ての夫婦にとってベストマッチするような魔法のようなメソッドは無いのではないかと思います。
そんなのがあったら、私もノダDも離婚を経験してないでしょうし……。

私達夫婦は「もう離婚したくない」ので、一緒に目的に向かって協力しあえます。

でも、どうしても無理でダメなら離婚してもいいとも思っています。
離婚しちゃダメなんじゃなくて、私達は「離婚したくない」から手を変え品をかえ、一緒にいるための努力をする。私達にとっては法律婚しないことも、共有財産を持たず、家を買わず、財布を一緒にしないことも全部「2人が一緒にいるため」の選択です。

 

ちなみに、パートナーはキレて加害していた話をかかれても平気なのかといえば、全然そんなことはないのです。恥ずかしいし、できればそんなこと描かれたくない。でも「まあ、本当だからしょうがないよね」と認めてくれています。
あと自分も映像ディレクターで表現する職業なので、こういった表現を認めてくれています。私はパートナーのこういうところ、本当にスゴイと思っていて、リスペクトしています。
私がこの話を描いたことで「DVモラハラ野郎」だと言われたら、それは私の責任だし、ある程度覚悟はしていたけど、Amazonレビューとかでもあんな感じで書かれて申し訳無い…と謝ったら「でも、あの人を実際に傷つけたのはオレじゃないし」と言っていて「おおおおおおお、この物事の現実的な物事の切り離しがすごい」と感動しました。


ちなみにB&Bのイベントで、あのエピソードを読んだ読者の方から「あのエピソードを読んで、かなりノダDの評価が下がりましたけど、実際にお会いしたら素敵でした」と、下がったのか上がったんだかわからないコメントをもらいました(笑)。


マンガを描いた私が「今はキレなくなって、欠点を克服したいいパートナーだよ」と言っても信じられない人がいるかもしれないので、念のため書いておくと、現在高校生であるパートナーの娘が以前「こんなこと言ったらお父さんは傷つくかもしれないと思ったけど、前に家にいたときのお父さんは怒ってばかりで好きじゃなかった。今のほうがいい」と言ってくれました。
そのときはしみじみ「キレなくなって、よかったなあ」と夫婦で実感したし、そう言ってもらえるようになって、よかったなあと思ったのでした。
そして大きい方の息子であるお兄ちゃんの成人のお祝い海外旅行で「お兄ちゃんとお父さんの海外旅行でも、お父さんはキレずにいられるか」という話をみんなでネタとして話しができています(予測不可能キャラであるお兄ちゃんとお父さんの男2人旅は、なんとか無事に楽しく過ごせたもようです)。

キレないお父さんは、もともとあった「頼りになる面白い」「ちゃんと話を聞いてくれる」いいところだけが残ったお父さんです。
…全く不満や欠点がないわけじゃないですし、相変わらず我々はケンカはしていますが…。生活にハッピーエンドはなくて、続いていくものなので。

 自分が克服したことについて、リターンが多くて成功体験が積めると人は自然とそちらを選択するようになります。もちろん本人が気をつけて、努力を重ねた結果ではあるのですが、無理して自分を曲げて抑圧して修正しているのではなく「こちらの選択のほうがいい」となり、元々の思考の癖がどんどん修正されているのだなと感じます。

 

我が家の場合は私との関係、話し合いで修正されましたが、自分を変えるという観点では田房永子さんのこちらの本がオススメです。

 あと、私が読んで一番「こ、これは夫婦関係も同じだ!」と思った「被害と加害」の話しが書いてあるのはこちらの本。

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

 

加害者はみな「被害者意識」から加害する、という話は我々夫婦の問題と同じだなと思いました。
被害者意識が強いと、相手への加害を正当化するんですよね。
自分が「被害者」で相手が「加害者」であると夫婦がお互いを認識したら、夫婦関係は破滅に向かうと思っています。そしてインターネットで「夫 死ね」と検索して「夫 ATM」みたいな結婚生活に……!! 私がこの世で一番恐いのは「好きでもない、信頼できない人間と暮らす」ことなので、どんなホラーよりこの手の話が恐いです。


この本に書いてある「被害と加害」の話は犯罪だけでなく、夫婦関係、インターネットの炎上、街中での揉めごと、全ての過度な攻撃や怒りに共通する話しだと思うので、私はことあるごとにオススメしています。

怒りの根源は傷つき、悲しみの体験に基づいている。なのでそれを認識して癒さないとひたすら怒り続け、そして「正当な怒り」がいつしか「加害」になることがある。

そもそも、加害者はみな「正当な怒り」だと認識して加害行為を行っているのです。自分の怒りや批判はどこから加害になるのか、ちゃと考えないと自分が「正しい」と思っているつもりでも加害者になります。かといって怒りを表明しなければ自分を守れないこともある。とても難しい問題だと感じました。

そして加害については抑圧や罰を与えても、更正に繋がらないという事実…。
被害にあった当事者が許しや癒やしを与える必要はないですが、社会は加害者に怒りや罰を与えるのではなく、更正を促すためのカウンセリングや治療を受けさせるようにしないといけないと、この本を読んで思いました。


「キレる私をやめたい」も「反省させると犯罪者になります」も共通することがたくさん書いてあると思います。

 

最近、夫婦関係の話について考えていると「被害と加害」の問題だと思うようになったり、話し合いがうまくできないのは実は個人の資質の問題だけじゃなくて、日本の教育のせいなのでは? と思うようになっています。
「うまく自分の気持ちを伝えることができない」「人に甘えたり、お願いすることが苦手」「察して欲しがる」「怒りや不機嫌で人をコントロールしようとする」「問題を解決するより、我慢や抑圧を選択してしまう」のは、「話し合う」方法を訓練していない、自己表現を訓練するどころか抑圧しまくっている教育とか社会の問題なんじゃないかと思っています。
どうしたら、そういう問題を子ども達の世代に残さないようにできるのかということを最近は考えています。

 

 

話しが長くなりましたが、最後にもう一度本来の趣旨に戻って伝えておきますが
『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』最終話「夫が自分を変えた日」について「男性が理不尽に怒鳴っている」というシーンを見て、自己の体験が呼び起こされてしまう人は読む前に、充分警戒して読むか、または読むのを控えてください

無料公開時には注意書きを書いてもらうようにしておきます。

あと、このマンガは最終話が我々夫婦の根幹の話しというだけで、その他は基本的に面白家事シェアエッセイコミックなので、お気軽に読んでもらえる本だと思っています。

 

ではではよろしくお願いします。