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ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

もはや男は添え物? 「アナと雪の女王」見てきた

自意識 その他

アナと雪の女王」見てきた。
『アナと雪の女王』特別映像:「Let It Go」/イディナ・メンゼル - YouTube

パートナーと行ったのだけど「なんでこれが高評価されてるの? ゴールデングローブ賞とかアカデミー賞とか貰ってるのかよくわからない」と言われた。
SNS見てても、軒並み40代以上の男性が「いや、まあ、よく出来てるけどピンと来なかった」みたいな反応なので、ある層にはよくわからない映画だろうな。と思った。

私は「女の子の自己実現の表現」として、おとぎ話をモチーフにした主人公が女の子のものは興味深く見る。

この映画は「従来のディズニープリンセスもの」だと思って見に行くと「え?!」ってなると思う。
あの大ヒット主題歌「Let It Go」の歌詞をよくよく読めば、どんな映画かわかるというものである。「私は自由よ」「理想の娘はもういない」ですよ。
最低限「ディズニー初のダブルヒロイン物」という前提を理解した上で見に行くくらいの前知識は必要だと思う。雪の女王である姉のエルサと、妹のアナの物語ですよ。


私が映画のレビュー記事でいいなと思ったのがこちら。
【映画】『アナと雪の女王/Frozen』レビュー ※後半にネタバレあり | BEAGLE the movie


というわけで、ここからネタバレの私の感想です。

ああ…ディズニープリンセスもここに極まれり……と思ったのが私の見終わったときの感想。

ここ最近のディズニー系…というか「おとぎ話系」女の子主人公の話はとにかく「男に頼り切らない、自立した女」として描かれている。ドリームワークスの「シュレック」のヒロインも自立した女だったのでここ最近ていうか、21世紀的なのかもしれないけど(あれはモンスターは王子様になれるのかみたいな話だったのでアングルが多少違うのだが)。

最近「ああ、すごく今時っぽいなあ」と感じたのはプリンセス物ではないけどティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」だった。この辺の話はだいたい、女の子の自立と自己実現がテーマだと思うのだけど、この映画でもアリスがとても強いのだ。最終的にアリスが先陣切って鎧に身を包み、剣を持って戦う。アリスは「大人にも王子様に助けてもらわない、仲間と自分で戦うヒロイン」なのだった。

アナと雪の女王」の1つ前のプリンセス物「塔の上のラプンツェル」を見たときも「王子様ポジションの地位の低さよ…」と思った。なんと言っても「王子様」が王子じゃない。盗賊ですよ。原作は王子様なのに。

ちなみに原作の「ラプンツェル」は…かなりヒドい話である。魔女に塔の上に閉じ込められて、超箱入りとして育てられたラプンツェルは、やってきた王子様に中に入れてと長い髪の毛を降ろして招き入れてしまう。そこで王子様ってば…何も知らない超箱入りの娘をやりまくるんですよ!
で、妊娠させちゃうの。大事に育ててた魔女は怒り狂って王子の目を潰し、ラプンツェルを塔から追い出す。一応、目が見えなくなってさまよった王子は、双子を産んでいたラプンツェルの元にたどり着いて幸せに暮らすんだけど、オイオイ! 王子! おまえなにやってんの! とつっこまずにはいられない。

…と原作につっこんでしまったが、「塔の上のラプンツェル」はラプンツェルがとても活動的で、自分で考えて自分で行動するので「王子様に助けてもらうお姫様」のフォーマットはもう古いんだなあ。と思った。それでも一応、最後に自分の命を犠牲にして呪いを解いてくれるのは王子様ポジションであるフリンなので、理解はしやすい。

で…「アナと雪の女王」なんですが、おお…とうとうディズニーは…世界中のガールズ達に…「女の子の自己実現に、男はいらない!」と宣言したかのようだ…! と思った。

この映画でのクライマックスは2ヵ所。
エルサが雪の魔法を使えることを両親に隠すように言われ、部屋に閉じこもり、妹を拒絶していたのに戴冠式で魔法がバレたのをきっかけに「抑制の効いた理想の娘」から開放され、雪山で1人「Let It Go」を歌うシーン。
ここがわりと早めに出てきちゃうので、この映画は開き直っちゃったお姉さんと妹がどういう結末を迎えるのか、が残りの話の主軸になる。

で、2回目のクライマックスシーンは姉の雪の呪いを受けてしまったアナ。「真実の愛だけが呪いを解く」と、混乱した姉が起こす吹雪の中、自分を想ってくれるクリストフに会いに行くためにさまよう。
そして…クリストフが目の前に…! なのに、姉が殺されそうになっているのを見て自分の身を挺して姉を助ける。そしてアナは凍り付き…しかし姉を想う「真実の愛」がアナを救った…。というシーン。

うわーーーーーー。「王子様のキス」では、呪いを解かないんだーー!
ヒロインが自分で呪いといちゃったーー!!!
エルサはここまでされて、やっと妹を拒絶するのをやめて、妹の愛を信じることができて魔法の力を制御できるようになる……。
2人とも「王子様の愛」は、いらないのだった。

これ、デートで見に来たカップルはどういう気持ちになるの…?
若いカップルなんて「王子様願望とお姫様願望の夢見る夢子」状態で見に来たら、この映画見て、どうなの? あんなにアナのために頑張ったクリストフの添え物感たるや……!
と、ついついアラフォーの私は周りのヤングカップルの様子をうかがってしまった…(モヤっとした顔してる人が多かったような…気のせいかもだけど)。
帰ってからYahoo!のレビューを見てみたらやっぱり「わけわかんない」「つまんない」という人と「素晴らしい!」「感動した!」という意見にパッカリ別れていてやっぱりな…と思いました。


私が二十歳前後で見たらエルサに感情移入しまくって大変だっただろうな…と思った。
なにぶんハートが剛毛過ぎて「ありのままの私」のままでいると摩擦が多かった私は「理想の娘」になりたくて、抑圧していた(充分はみ出てたんですけど)。
エルサの設定のスゴイところは、そもそもの「雪の魔法」に理由も因果関係もないところだ。「生まれつき」以外の説明がない。私は未だに「なぜこんなハートが剛毛な人に…」とうじうじ悩むことがあるのだけど「そうすか…生まれつきっすか…」みたいな気持ちにさせられた。
「ありのままの自分でいい!」ってなったら地元の人、親戚一同が凍り付くっていうのも残酷な話であるが「ありのままの自分でいながら、なおかつそれを受け入れてくれる人を信頼すると、力が制御できる」というはわりと象徴的かつ、真実に近いのかもしれないなあ…と今の私は思う。


でも日本の女子達は「専業主婦願望」が再び高まってるというし、まだまだ「白馬の王子様に守られたい」と思ってる人が多そうだ。
私は昔から「お姫様願望」がないのでこの「女の子よ! 自立せよ!」的な流れに心底共感できるんだけど、そうでないタイプもいるだろうなと思う。
しかし「お姫様」になりたい女子は増えても「王子様」になってくれる男子はどんどん減る一方だと思うので、姫と王子の供給バランスは今後も悪くなっていくと思う。それを考えたら、年若い女子達がアナやエルサに影響されるといいなあと思う。
オールドタイプの「お姫様願望」ってある意味チート技みたいなもので、本人が学歴もなく、稼ぐ力も社会的地位もなくても「いい男さえ捕まえれば全部チャラ」になるみたいなずるさがある。
昔の女性はそれしか「一抜けできる方法」が無かったわけだから、そういう話が「女の子の理想」だったのだろうけど、今は「自分でなんとかする」という選択肢が増えた。
おとぎ話の効力っていうのは「理想のモデルケース」を見るところもあるわけだから、私にもしも娘がいるなら「アナと雪の女王」を見せたいなあと思った。


にしても、今後ディズニープリンセスはどういう方向に向かうんだろう。
「自立した女の子」のモデルケースを見せてくれるのはとてもいいのだけど、ここまで男の子が「添え物」になっちゃって次はどうなるの?
そこでアンジェリーナ・ジョリー主演の「眠れる森の美女」の魔女の話「マレフィセント」の予告が気になる。
「マレフィセント」予告編 - YouTube
なんだか「男に翻弄された女の悲しみ」みたいな話なのかしら……と予告編を見る限り思うのですが。しかしここでも男性キャラは全然存在感ない…。気になるので公開されたら見に行こう。

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