ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

「ネットの釣りとデマのルールブック」Hagex先生の本。

プロのウォチャーを目指していたHagex氏の単著が発売されました。
2ch発言小町はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」です。

なぜか遠い宇宙のゲスパー連合から「ハゲ本のレビュー楽しみにしてます」という電波を受け取ったので、ここでレビューを書かせて頂きます。

先日トピシュさんがHagex氏と対面したときの話をブログに書いていました。

角川本社ビルでHagexさんのインタビューを受けてきました - 斗比主閲子の姑日記

そこで2年前のHagexギャル特集のリンクを貼っていた為、私がHagexギャルであることが最近仕事関係の人にバレたようです。いや、別にいいんですけれど…。
にしても他2名のHagexギャルの方はあの後ブレイクしたにも関わらず、私だけ(あの時すでに単著が4冊目だったにも関わらず)鳴かず飛ばずです。私も売れたいです。
あげくハゲ先生ご自身も単著を出され、売れ行き好調ということで、益々置いてけぼり感満載です。もう一度言います。私も売れたいです。

ちなみにトピシュさんは2008年からのハゲブログ愛読者だということですが、私はわりと最近の2011年です。きっかけは犬山紙子さんのTwitterで言及されていたのと、私の別の友達がリンクを貼っており「このブログ、よく見かけるなあ…でも何が書いてあるのかわからない…」と思いながらも読んでいるうちに、気が付いたら2011年から読み始めて2005年くらいまで読んでいた。という恐ろしい流れです。ハゲブログにはまるには「我が身に不幸がなければならぬ」と言われておりますが、私は2009年に離婚をし、毎晩「何が悪かったのか」と反省会を繰り返していたので読みはまってしまいました。
そしてハゲブログのログを読破したころには「私の結婚も離婚もおままごとだったわ! 世の中ってもっと大変!」と解脱したのです。ありがとう、Hagex-day info!

では本題です。タイトルが長いので「釣り本」または「ハゲ本」と呼んでいます。
すでにいくつかレビューも読みました。

私がHagex脳になるまで - 今日一番おいしかったもの

話題のhagex本「ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い」を読んだ感想 - 感謝のプログラミング 10000時間

【読書感想】ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い - 琥珀色の戯言

意外とみなさん、本の内容に驚きつつ、すんなり受け入れられているような印象を受けました。
Hagex脳が進んでいらっしゃるのかもしれません。

私が読み終えたときの感想に比較的近いのはこちらですが。

http://oreno-memo.hatenablog.com/entry/2014/04/12/132516

私はこれを読み終わったとき思ったのは
「これは気の狂った人が書いた本じゃないだろうか…」ということでした。

鼻行類」とか「コデックス・セラフィニアヌス」とか、妄想で作られた図鑑…みたいなものに近いのではないか、と思いました。

トピシュさん風に言うと「一般向けではありません」というような感じです。
最初、私は「ネット釣り師の本か…ネットの情報に免疫の無い高校生の娘さんや息子さんを持つ親御さんたちに、オススメしたらよいのでないかしら…」などと思って読み始めました。
ところが、この本はそんな「一般的なネットリテラシーを高める本」ではなかったのです…!
(もちろんそういう側面も多いのですが)


「ネット釣り師」というものの存在は、実際にインターネット上に存在はするけれど、実体のないものです。ネットを見ていれば確実にその存在を感じられるにも関わらず、数値化することもできなければ、現実社会でお目にかかることもできません。半分くらい、オカルトに近い存在だと思うのです。現代社会において、民間伝承に残る妖怪のようなものだとさえ思っています。
(実際にはうちの引きこもりの弟が毎日釣り投稿してるんだぜ…とか、実体のある話もあるのかもしれませんが…私の周りにはいません)
その釣り師に対しての攻略方法が書いてあるのです。
鼻行類とかよりは個人の妄想じゃないですし、実際にネットを覗けばたくさんいるなと感じられます。なので書いてあることの大体のことに共感することもできます。しかし「うんうん、わかる」「へえ、そうなんだ」と思うと同時に「何なのこの本…」と思ったので、私はまだそこまでHagex脳が進行していないようです。よかった!

なんかこういう本、昔読んだことあるなあ…と思って思い出したのが「ゲームブック」です。もしくは「テーブルトークRPG」のルールブックです。
テーブルトークRPG」というのは、リアルに面と向かって一定のルールで進める「ごっこ遊び」です。サイコロを振って確率でモンスターへの攻撃が当たったかどうかを判定し、グループでゲームを進めます。

テーブルトークRPG - Wikipedia

私が通っていた首都圏郊外の公立中学にはオタクかヤンキーしかいませんでした。当然私はオタク側のみなさんと仲良しでした。
私自身はオタク的素養はあっても資質はないのですが、なにぶんそんな環境では友達はみなオタクです。隣の席の男子から「キャラクターの絵が描ける」という点で私は「テーブルトークRPG」の仲間に加えられました。そこでみんなの架空のキャラクターのイラストを描き(今でいうとアバターですね)、12面ダイスを振っていました。

そのルールブックには世界観の説明や架空のモンスターの分類や攻略法など、みんなが同じ世界観の中でゲームができるように細かな設定が書かれていました。

ハゲ先生の本を読んでいて、それを思い出したのです。

印象深いのは第4章の「レスポンスで見る釣り師のパターン」です。

ファーストポスト後の釣り師の反応は、次のように分けることができる。
(1)攻撃型
(2)先行逃げ切り型
(3)自己都合型
(4)読者完全無視型
(5)忘れた頃にやってくる型
(6)池上彰
(7)後付け型

いや…ハゲブログを毎日読んでいれば、確かに大体何のことを言っているのかはわかります。わかりますが、ポイントはこの後に続くそれぞれの説明です。

(1)攻撃型
 読者対応が乱暴・丁寧に関わらず、非常に攻撃的な返信を行う対応である。弱い犬ほどよく吠えると同じで、メンタル的にも弱いため、攻撃的な返信をしてしまう。読者が煽ると非常にのってきやすい性質を持っているが、煽りすぎると、暴走してわけがわからなくなるので気をつけよう。基本的には返信するタイプなので、攻撃要素を差し引いて、気になる情報だけ入手しよう。
 余談になるが、ネット喧嘩初心者は、このタイプを相手にすれば自分のスキルアップを行うと上手くいく。

途中までは「ふむふむ」と思って読むのですが、最終的に対処方法になってきます。
…あれ? みんな、そんなに釣り師と絡む生活しているの? 2ちゃんねる発言小町や増田に書き込みってしてるの???? というか、する前提でこの本って書かれてるの? と困惑しました。
「ネット喧嘩初心者」って…ネットで喧嘩しないから! ほとんどの人は、ネットで喧嘩しないんじゃないの?! と思いました(してるの??)。

あれ? 今気がついたけど最後の一文て「このタイプを相手にすれば自分のスキルアップを行う〝のに〟上手くいく(または〝利用できる〟)。」ではないかしら…? というかこの本は結構誤字があります…。でも自分の本も何度見ても何度見ても誤字が出るので、何とも言えません…。

ちなみにわたしはネットで喧嘩はしません。基本的にネットで喧嘩は無駄だと思っているし、自分に宛てられたTwitterのネガティブなリプライやブログについたコメントだったとしても、オンライン上でよく知らない相手と言い合いをすることに意義を見いだせないからです。
だって、別に友達じゃないじゃないですか。友達だったら話し合いますけど、相手のバックボーンもわからないし、相手がどこまで誤読や誤解、思い込みがあるかもわからないので、喧嘩しても無駄だと思っています。
自分のところに火の粉が降りかかったらそれなりに対処はしますが、極力関わり合いたくないと思っているのに、どれくらいの人がわざわざ釣り師に喧嘩を売りに行くのでしょうか…?

私は「まとめ」は見ても、実際の掲示板にはほぼアクセスしませんし、この本で書かれているような大手掲示板で活躍するような「釣り師と戦う」場面は殆どありません。
ネット上において、は実際の「プレイヤー」はごく少数で、「観戦者(野次馬)」が大多数いる。と思っています。私は「観戦者」でしかないし、Hagexさんのような優秀なキュレイターがセレクトしてくれる情報しか受け取っていません。

なので、この本に書かれているとても実践的な「釣り師の見抜き方」「釣り師の釣り方」を見て「プレイヤー用のルールブックみたいだな」と思ったのです。

ただ、観戦者もルールを知らなければゲーム内容がわかりません。そう言った意味ではこの本を読めばプレイヤーにならずとも「正しい観戦者」になれるのでしょう。

しかし、世の中の「インターネット利用者」の殆どが「楽天ぐるなびGoogleマップを見る」くらいではないかと思われます。彼らにコレを「読んでネットリテラシーのお勉強をしてね」と読ませても、おそらく私と同じように異世界のルールブックを読まされてる気分になるのではないでしょうか。
ネット生活が長くても掲示板を見ない人は多いでしょうし(私も実際2011年まで殆ど見ていませんでした)、2ちゃんねるのまとめもごくごく僅かにSNS話題になったものだけ見る、みたいな人が大多数です。「まとめなら見る」>「よく掲示板を見ている」>「掲示板に書き込んだことがある」>「掲示板で釣り師につっこんだことがある」>「釣りをしたことがある」という順番にものすごく人数が減っていくと思うので、かなりニッチな世界だな…と思いました。

第1章 釣り師の世界
第2章 釣りを「マクロ視点」からみてみよう
第3章 「ミクロ視点」から釣りを見抜く重要性
第4章 釣り師はコミュニケーションを欲している
第5章 ネットスキルを駆使して釣りを見抜く
第6章 「社会の釣り」であるネットのデマを見破る
第7章 現役釣り師から聞く、釣り師の世界

章のタイトルだけ見て説明しますと、第一章は「釣りとはなんぞや」ということが書いてあるので「こんな世界があるのだよ」という意味でやや一般的です。
しかし、第2章から5章までは「釣り師を見抜いて戦う」為の細かいノウハウです。章が進むごとに方法の難易度があがります。っていうか、そこまでやるの…となってきて、異世界の戦いを見せられている気分になるのです。5章の具体的な方法については「そんなことまでするの?」という気持ちになりました。いや、確か写真のExifデータの取扱とか、大事な知識なんですが。
自分もブログに書きましたし。
初心者向け! ブログに載せるデジカメ写真のExif情報について - ハート♥剛毛系
しかし基本的には自分がプレイヤーになる、という意識がないので5章の詳細な方法を見てクラクラしました。


一般的なネットリテラシーの啓蒙として重要なのは第6章の〝「社会の釣り」であるネットのデマを見破る〟の章です。ここに来てやっと大事なことを読んでるな、という「書籍を読んでる安心感」が得られます。ネット経験の浅い友達にリテラシーを学ばせようと読ませるなら6章だけでもいいかもしれないです。しかし、その章の締めの文章に…

デマ退治は人の役に立つ
 釣り師のエピソードを見破っても、それが本当に「釣り」なのかは私たちにはわからないし、人の役に立つかどうかわからない。しかしデマの判定は違う。
 もし釣り判定師を目指すのであれば、最初はデマを見つけ、検証する訓練を行えば一気にスキルアップができる。なぜなら釣りと違い、デマは嘘か本当かはっきりわかるためだ。それだけでなく、デマを見破ることで、間違った情報に流されるユーザーを助け、社会的にも良い行為と言えるだろう。

とあります。
やばい、これを中二真っ盛りの男子にうっかり「2ちゃんは釣り師がいるから気をつけるのよ」とネットリテラシーを学ばせる為に読ませてしまったら「かーちゃん! 俺はネット釣り判定師になるよ!」とはっちゃけてしまいそうです。「いいからネット見てないで勉強しろ!」と母親の怒号が飛びそう…というところまで想像してしまいました。「こういうことがあるから気をつけましょう」で終わらないところが、この本全体を包む妙なテンションなのだと思います。

ちなみに私はその昔知人から「チェーンメールが来たんだけど、7人に送ると幸せになるとか…こんなの嘘だよね」と送られてきたメールをもらい、調べたら「肛門拡張パロディ画像」だったことがありました。
mixiで「これは神の手じゃないし合成写真。しかも元は肛門拡張パロディ画像。つまり『こんなのうっかり信じるやつはケツの穴でも崇めてろ』ってことだよね、タチ悪い」と書いたら「信じてちゃってた…」「友達に送っちゃった…」と数人にヒットしてしまい、モヤモヤしました。
ちなみに当時、元ネタをうっかり調べるとグロ画像を見るハメになりました。「うっかり信じてケツの穴を崇める」か「疑って調べてグロ画像見せられるか」の二択を迫られるこのチェーンメールを考えたヤツの悪意は尋常じゃない…と思いました。
ちなみに今調べてみたら、未だに「神の手の雲」ってまだ廻ってるらしい。

チェーンメール「神の手の雲」は合成だった!?

社会的な啓蒙にはなると思いますが私自身は「オラ、釣り判定師になる!」という気運は高まりませんでした…。しかし実際には「あれ? なんかこの話おかしいぞ」と言う話が回ってきたときに、思ったときに検索してみると、何人か必ず検証してくれている人がいます(このリンクもそう)。彼らは「釣り判定師」なのでしょう。検証記事を読んで「やっぱりそうだったか!」と安心することができます。なので、社会正義のために検証記事を書いてくれている方には感謝の念は忘れないようにしたいと思います。しかし、それを「釣り判定師」と呼び、目指すとなるとニッチな世界の話になるような気がします…。

そして第7章のトピシュさんとの対談。
この章で、本当はこの本はHagex氏の妄想で書かれた本なのでは…という疑惑がやっと解消されます。よかった、釣り師はいたんだ…! みたいな気持ちになります。
ネットで同じような活動をしていると思考回路が似るのでしょうか、または元々似た素質があるから似たような行動を取るのでしょうか。ネットって、こういう人達が出会えるという意味ではいいものだな…と思いました。ネットのデマとか釣り師とか暗部を読んできた最後にこれがあり、救われました。


他にも思うところ、書きたいことはあるのですが、大概長すぎるレビューになってきたのでそろそろ締めます。



2013年、これは頭の振り切れた人が書いた本だ。と思ったのはパラダイス山元さんが書いた「飛行機の乗り方」です。

パラダイス山元の飛行機の乗り方

パラダイス山元の飛行機の乗り方

こちら、飛行機の乗り方というくらいですから、マイルの使い方とかそういうものかなと、かわいらしいカバーを開くと中にはとんでも無い世界が繰り広げられているのです…。
「1日の最多搭乗回数11回! 1年間の最多搭乗回数1022回! 」え…何をどうやったらそういうことに…? と思うのですが、パラダイス山元さんは「乗り鉄」ならぬ「乗り空」。飛行機に乗ることが目的の人なのです。普通の人にはなんの参考にもなりませんが「こんな世界があるんだ…」ということを知ることができるスバラシイ本です。

それと同じ意味で2014年、頭の振り切れてる人が書いた本はこのHagex先生の本にほぼ決まりだなと思いました。

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Hagex本は意外と好調でハゲ子感激です - Hagex-day info

ちなみにハゲ先生は会社を辞められて、単著も出されとうとうプロのウォッチャーになられるのね! と思ったのですが再就職なさったそうで、サラリーマンとウォッチャーの二足のわらじをはき続けるようですね。
あ、私もインタビュー時に実際のハゲ先生に会ったことがありますが、ハゲ先生はイケメンです。