ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

期待の値が高いとキレやすい

私の現在のパートナーは出会った当初、キレやすい人だった。
知り合ったときは仕事上の付き合いだったのだが、普段はおだやかなのに何かの弾みでキレてしまう。もちろん最初はビックリした。
正直「このタイプは奥さん大変だろうな」と思った。
彼がバツイチになったのには、それなりの理由がある。と思う。

数年後、そう思った相手と付き合うことになったわけだが、やはり彼がキレる場面はあった。

私はキレられるとシャットアウトした。電話でキレられた場合は、相手がキレ始めて最初のセリフを言い終わる前に電話をブッチ切り。以後電源を切り「キレた人とは話をしない」という態度を貫いた。

キレるのは正直言って甘えだと思っている。そうやっても許してもらえる。という前提において彼はキレていた。仕事のときは、なるべくスムーズに物事が進むようになだめすかし、なんとかうまくやろうとこちらも努力した。しかし、個人的な付き合いになってからは、こちらが離婚後で疲弊していたのもあり(元夫も突然不機嫌になったりするタイプだったので)、正直男性の感情的な甘えを許せるだけの余裕がなかった。
彼がキレてからこちらの感情の氷点下への墜落、そして私が容赦なく電話を切るまでのジャッジは2秒くらいだった。人生で1、2を争う冷酷無比っぷりであった。

1、2時間後くらいに電源を入れると弱り切った彼からの留守電とメールがたっぷり残っていた。
最終的には「キレてごめんなさい。連絡を下さい」となっていたので返事をした。
これは何回か繰り返した。

そしてなぜ彼がキレるのか、ということを観察した結果。彼は自分のことを「人に意見を譲る、自己主張しないタイプ」だと思っているところが原因だと思うに至った。
彼は自分と違う意見が出たときに、まず相手に合わせてしまう。そしてやり過ごしてしまう。そのまま事態は進むので、彼はずっと我慢し続けることになる。
彼の中で、その事実は膨らみ続けるが、それを表明しないまま「ボクはイイ人だから我慢している」という認識のまま進む。当然、本音は表明されないのでこちらは気が付かない。
そして、最終的になにかちょっとしたことがきっかけで「こっちはこんなに我慢して譲り続けているのに、どうしてそんなにおまえは気を遣ってくれないんだ!」と爆発するのだ。

「アホか、こっちはエスパーじゃねーんだから言わなきゃわかんねえよ」
キレられた私の答えはこれである。

私は基本的に「我慢して、その後爆発するようにキレたり」しない。
最初の段階で自己主張する。
何かおかしいと思ったらその時点ではっきり言う。
問題はあまり先送りにせず、解決しながら進めると「私ばっかり我慢している!」と苛立ちを溜めることが無くなる。私は問題を保留にしている時点でそれを自分の過失だと考えている。
彼はそれを「ワガママ」「自己主張が強いタイプ」と認識していた。
「君がワガママだからボクは譲っているんだ」と思っていた。

とにかく私は、徹底して「キレる前に我慢するな」と訴え続けた。
少なくとも私と付き合っていくならまず「意見を譲ってあげる自分はイイ人」という自己認識から直してほしい。こちらは言われなければ絶対わからない。ちゃんと話し合わずに最終的にキレてしまってはそれまでした我慢も心遣いも全て台無しになるだけ。とにかく我慢するな。我慢している、という認識を持ったらその時点で口に出せ。と言い続けた。

彼は自分がキレるまでの思考の仕組みについて考え始め、なるほど…とムカついてキレそうになってから「どこで自分が我慢していたのか」「何を納得していなかったのか」を認識するようになった。そして徐々に「ここはこうして欲しい」「ここはこういうほうがいい」と表明するようになった。


そして最近、共通の仕事以外のコミュニティの中で「彼は苛立ちを覚えるが、私は全然気にならないこと」の差や、コミュニケーションの差について話をするようになった。
そこで私が彼に言ったのは「自分ができることが必ずしも相手に出来るわけではない」ということだった。

簡単に例えを言うと、彼は待ち合わせの10分前に必ず現場につくタイプで、メールは即座に返すタイプ。なので、遅刻する相手に苛立ち、メールを中々返さない相手に苛立つ。
(ちなみに仕事でルーズなのはもちろんアウトである)

私は自分も遅刻することもあるし、うっかりメールの返信を忘れることもあるので他人のルーズさにも甘い。そして相手が自分よりもルーズだったとしても、その人と付き合って行きたい場合は「そういうタイプ」だと思ってそういう対応をする。飲み会のお知らせ同報メールには返信してこないタイプだったらLINEで確認するとか、そういう手間をかける。それを別に厭わない。それが嫌なら付き合わなければいい。と思っている。

そういう私の考え方と行動を見て彼は
「許容量がデカイというより、そもそも相手にあんまり期待してないんだね」と言った。

彼は「自分がここまでしているのだから、同じことを相手もするべきだ。返すべきだ」と思っていた。つまり、相手の能力を高く見積もって相手の行動に期待している。その期待が裏切られるから怒り始めてしまうのだ。
しかし、相手は必ずしも同じ価値観を持ってるとは限らない。物事の優先順位も違う。それは育った環境やしている仕事、色々なものに影響されている。
相手の性格やバックボーンまで考えて「この人はこういうところがあるけど、こういうところがいいからこう付き合おう」と考えれば、自分の価値観と違うからと苛立ったりすることは少なくなるということに気が付いたという。

相手がパートナーであれ、友達であれ何かを我慢して「どうしてあいつは○○しないんだ!」とキレた時点で、その前に何かできたのではないか。と考えるようになってくれた。


そして彼は「苛立つ前に建設的な意見を言う」という行動に変わってきた。

私たち2人の間でお互いの予定を「言った、言ってない」で喧嘩になることが多いとなればオンライン上でカレンダーを共用して書き込んでおくルールを作った(つまりそこに書き漏れていたら相手の過失になる)。
忘れそうな頼み事がある場合はメールを使いメモとして残す。伝わりにくいメールでのやりとりで齟齬が出たらすぐに会話に切り替える、など「キレない」「喧嘩をしない」ためのルールを作るようになった。

相手は別の人間で伝えなければわからない。言わなくても「自分と同じように考えて、同じように行動してくれる」という期待を無くす。

もちろんそれでも喧嘩をすることはある。その場合は後から原因を説明して、お互い次に繋げる。お互い何がイヤだったのか、どこですれ違ったのか必ず話し合い、その日のうちに解決するようにしている。

そして気が付いたら、彼は滅多にキレなくなっていた。わずか数年の間に。
仕事でイライラしても「あ…相手に過大な期待をしちゃってるな。見極めないと」というような考え方をするようになった。
イライラしている自分を正当化せずに客観視するようになってくれたのだ。


ちなみにこの相手に対する期待する値を下げすぎてもいけない。
私は元々「気が回る系ではない、ちょっと鈍いくらいの男子」を好むので「気が利く」とか「察する」とかをはなから期待していない。しかし「相手はこういう人だから受け入れよう」「自分が納得しているから大丈夫」と「自己処理」をやり過ぎると「川の水を飲んでいるのに幸せ」みたいなことになってしまう。

川の水を飲んでいた女と呼ばれ - ハート♥剛毛系

だから私が彼がキレたときに容赦なく電話を切れたのは、おそらく「期待していた」からなのだった。それをしても、彼が私に対して頑張って向かい合ってくれるであろう。ということを。
そして彼はその期待に応えてくれたので、私は彼を信頼することができた。


相手に対しては期待しすぎてもいけないし、期待しなさすぎてもいけない。
常に関係にしこりを残さず末永く信頼し合い付き合っていく為に、お互いの期待する値のバランスをうまく取っていくように心がけている。



ちなみに私がパートナーにキレないか、というとそういうことは全然ない。
聖人君子ではないし、残念ながら女性的なホルモンバランスによる情緒不安定さを発揮することもあった。

若かりし頃はキレたり、さめざめと泣いたりしてから「あれ? なんでこんなことで感情的になってるんだろう」となり、後から「ごめん…ちょっと今日そういう日だったみたい…」と謝っていたりしたのだが、さすがに20年以上そういう周期があると経験値が積み上がり、爆発する前に「あ、今はそういう時期、そういう時期」とセーブはできるようになった。もしくはあらかじめ「今、イライラ期かも」と相手に先に申告したりもしている。しかしそれでもムキーとキレてしまうことは無くせていない。
なのでキレた瞬間に「あっっ! やっちゃった」と、その次の瞬間に謝る「キレながら謝る人」となり、キレと客観的な説明が同時進行するビリー・ミリガン状態に…。
相当おかしなことになるのだが、彼はそれなりにこちらの努力を汲んでくれるのでなんとかなったりする。

…その後、出産後のせいか、それとも加齢かこんなこともだいぶ減った。それとも彼がキレることがなくなってストレスが減ったせいかのか。でもホルモン…は恐ろしい。また更年期になったら復活するかもしれないけど。

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というブログを書いてパートナーチェック待ちで保留にしてたらこの記事が話題になっていた。

「察してほしい」気持ちをなくせば夫婦喧嘩は8割減る - はなこのブログ。

これはわりと似た話で逆パターンなのではないかなと思った。
どちらの立ち位置にしろキレたり爆発する前にできること、あるんじゃないかなということで。