読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ハート♥剛毛系

心が剛毛な心臓モサモサ系の人の散文。主に「自分のこと」を書くのがテーマです。

「私は奥さんじゃありません」

わかってます。こういうこといったら「めんどくさい女だなあ」って思われるの。
先日パートナーの仕事関係の相手に紹介される機会があったのですが「奥さんです」と紹介されたのでした。
家に帰ってから「あそこは『奥さん』ではなくて『パートナー』か『妻』と紹介して欲しい」とお願いしました。


私が今「法律婚」をなるべくしたくない理由に「どちらかが改姓するリスク」があります。
結婚して改姓すること - ハート♥剛毛系

しかしこれだと「選択制夫婦別姓」が制度として利用できるようになったら「法律婚」するのか、というと、そうではないです。私が「法律婚したくない、メリットを感じない理由」は「お財布を一緒にしない」からです。

現在のパートナーも私も給料でお金をもらっていないので、仕事とプライベートのお金の境界線が曖昧です。お互いが独立した経済活動をしているので、共有財産を持たない方向での関係を形成しています(この先、状況によっては変わるかもしれませんが)。
その場合法律婚によるメリットは殆どありません。
どちらかがどちらかの扶養に入ることもないですし、共有財産も今の所ないので相続する財産についても特に現状としては公正証書を作ってお互いに渡るようにする…というほどの状況でもありません。
(ただ、病気・介護・死後の事後処理などはお互いに任せることになっているので保険については受取人をお互いに変更する予定です。)

たまに「お財布を一緒にしないなんて夫婦じゃない」みたいなことを言う方がたまにいらっしゃるのですが、それが夫婦でないなら、そうでなくてもよい、と思います。
なので、できるだけ「法律婚をして姓を一緒にしないほうがよい」と考えています。

なぜ私がここに大きな抵抗感があるかといえば「日本は結婚したら稼ぎは男性、女性は働いていたとしてもサポート的な収入スタイル」という大きな固定概念がある、ということがあります。
たとえばこういうところで議論されていることとか。
本当に「子持ち女性の給料は男性より61%も低い!」? - Togetterまとめ

海外に比べてとか、数字や制度がどうこう…ではなくて、私が最初の結婚したときに、すごく肌で感じたこととして「結婚したんだから、もうお金の心配はないんだよね?」という誤解はものすごくあった、ということだけは事実です。

特に私は企業に勤めておらず、フリーランスなので主に在宅業務です。
初婚のときにかなり多くの人に「これからはダンナの稼ぎで悠々自適。好きな仕事だけやればいいからいいわね」と思われたようなのです…。
実際に、女友達の中には「結婚したら仕事をセーブしたい」という人もいます。家事や子育てにシフトしたい、というのは結婚のある理想のスタイルでしょう。
「何があっても仕事は辞めない」と決めていた私はこの辺のイメージに無自覚だったことにとても後悔しました。家庭的であることと、仕事をすることは私の中では両立できることだったからです(実際はそれがまた離婚の一因になったわけですが)。


結婚したてのときに、仕事の予算の相談をされた際に「もう結婚したから(安くても)いいじゃないですか」と言われ、ギャラの値引き交渉をされたことがあります。その時はかなりショックを受けました。
おそらく先方は「お金が無い」という条件が先で理由はなんでもよかったと思うのですが「結婚したんだから」と言われてしまうのは完全に女性差別…と思いました。男性だったら「結婚した」はむしろ理由にならないので、別の理由を言われるはずだと思いました。

元夫の父親(元義父)からは「イラストレーターなどで暮らして行けるわけがない」と思われていたようで…ことあるごとに「芸術家のタマゴだから…」とか「私の知り合いに絵画教室やってる人がいるけどいってみないか」とかいわれ、「どんな仕事でも(収入が少なくても)辞めないほうがいい」とか彼なりに悪意の無い励ましを沢山いわれました。

「いや、私あなたの息子に、養われていませんし、おそらく私のほうが収入があります」

と、何度か面と向かって言おうかと思ったのですが、角を立てたくなかったし、そんなことを言ってもしょうがない…と思って黙っていました。

それまではフリーランスで仕事することになんら不自由を感じることがなかったのに、結婚したとたんに「イラストレーター・グラフィックデザイナー」「在宅業務」へのイメージというのは「主婦に毛が生えた趣味程度」というような扱いに変わってしまった…と感じることが何度もあり、ものすごくショックでした。


仕事上の付き合いがあまりおろそかにならないように…と仕事関係の会合などにもなるべく参加するようにしたのですが、そういうことをネットで書いていると全く知らない人からブログに「ちょっと夜遊びしすぎじゃないですか?」などとコメントがついたり…と、突然「良き妻」としての枠にはめられてしまうのだ…と全く結婚前は知らなかった現実を目の当たりにしました。
(ちなみに私は元々お酒が飲めないので朝まで飲んだり、というようなことはありませんでした)

もちろん、わたしのネームバリューが中途半端だとか、結婚などがプラスに働くほど売れっ子でない、とかそういう自己責任の部分もあります。
私の友人の中には結婚して出産した後に会社を設立して積極的に活動している人もいます。そういう人にくらべて私はかなりのんびりしていて、意識が足りてなかったのです。しかし、そういう「結婚した=男性の庇護下にある」というイメージがこれほど大きかったのは結婚するまで予想も出来なかったのでした。

そういった中で私にチャンスがやってきました。「30日で世界を一周する旅番組に出ませんか」というオファーです。
予算がないのでタレントさんを拘束できないが、何かクリエイティブな職業の人を選び、その切り口で番組を作りたい。ということでした。
私は「結婚して家庭に入った」というイメージを払拭したかったので企画書を書き選考にエントリーしました。そして無事に選ばれてその仕事をお受けしました。

その仕事をしたおかげである程度は「仕事します!」というアピールになったところもあるのですが、同時に「結婚しているのに、女が30日も家を空けるなんて」という批判も浴びました。
離婚した、という報告をしたときも少なくない人に「やっぱりあんな仕事してたから?」と言われました(ちなみに元夫をよく知る人からは全く言われませんでした)。
既婚者の男性からは
「オレだったら奥さんがあんな仕事するの、許さないよ」とか
「あんな理解ある男性と別れてもったいない。あんなワガママな仕事を許してくれる男性なんて、そういない」などと言われました。

実際「おまえらうちの事情しらねーだろ! 何勝手なこと言ってやがる!」と思ったのですが、キレるほどの知り合いでもないので受け流しました。あ…すみません、嘘です。2つめのケースは「女が働くこと自体、ワガママだ」というふざけた男尊女卑論調だったので後から少々やり返しました…。
現代にこれだけ共働きの家庭が増えているという現状でも「女性が長期間仕事で家を空ける」ということがこのように扱われる、というのがわからなかったので、自分は世間知らずなんだな…と思いました。

もちろんこの話を聞いて「何言ってるの!? 女は男の所有物じゃないし!」とドン引きしてくれる男性も多々います(今のパートナーなども含む)。
でも「ああ…この世の中は私が思ってるよりもずっと『結婚』に対して保守的だったのか…自分が知らなかっただけなんだ」と思いました。

実際の私の離婚理由についてはこちらを読んでいただければわかると思います。
川の水を飲んでいた女と呼ばれ - ハート♥剛毛系
(ちなみにこのエントリー…Twitterでの言及が2500とかになっており、どれだけ皆さん苦労しているのか…と思いました)

元夫は私が仕事をすること、活躍することに関しては大変協力的で…というか、むしろそれだから自分はのんびりしていてもよい…とさえ思っていたところがあるようなタイプだったので、こういったギャップはとてもストレスでした。

「社会的に強者とは言いがたい」今の自分の現状で「法律婚」をしてしまうと「男に養われている」というイメージが先行してしまう、というのが私の実感です。どこかの企業の社員であったり、会社を経営していたり、医者・会計士・弁護士等の専門職であったり仕事のイメージが確立している女性はまた別だと思いますが、それはそれでおそらく別の苦労があるのだとは思います。

私は仕事を一生したい、と考えています。
どんなに仕事が減ったり(イラストのお仕事は他業界とも同じように斜陽と言われていますが)、どんなに苦境に立ったとしても仕事は辞めたくありません。

そして、何よりも実際に現在「経済的にパートナー男性の経済的庇護下にない」のです。



……というわけで、長く(ちょっと恨み節っぽく)なってしまいましたが…最初の話に戻ります。

「私は、奥さんじゃありません」です。

ただの言葉かもしれませんが「わたしはあなたの奥さんではありません」とパートナーに伝えました。「家内」「奥さん」は家の中にいる人のことが語源なのでイメージとしても事実としても間違っています(…実際家の中にはいますが経済活動をしているので)。
ただ、彼は私を「妻」として紹介できるのが嬉しかった、ということは理解していますし(実際嬉しそうだったし)、たまたま「奥さん」という言葉を選んでしまっただけ、というのもわかっています。それが原因で喧嘩などもしていませんが「今後は『妻』か『パートナー』として紹介して下さい」とお願いしました。
私ももっとこんなことで悩まなくていいように、仕事頑張りますので。
まあ…そのときに相手の人(一流企業の男性)に「とうとう○○さん(パートナー)も観念しましたか」と言われたのがすんごくカチンと来ちゃっただけなんですけどね。
たぶんその人の頭の中では「結婚=男が女に捕まる」なのかな…と思いました。
いや、養ってもらってないし、捕まえてないし、ていうかむしろ捕まったし!!!
とそこで思ったのがおそらくこの長文のモチベーションでしょう…。
「どうやって紹介されたら『観念した』とか言われなくて済むのかな」と考えて、せめて「パートナー」とか言われたら違ったのかな…と思ったのです。(それでも言う人は言うのでしょうが)


ちなみにこの辺の事情を私よりもたくさんお仕事している子持ちの既婚先輩女性作家の方(在宅業務)にお話したら「わかる…」と深く共感していただきました。子供がいたら自分のポジションは「お母さん」になって更にもっと「自分が家計を支える仕事をしている」「男に養われていない」ということが理解されなくなる。と言われました。

そしてその事情を説明すると「なんでそんな稼げない男なんかと結婚したの?」と言われてしまうという…。これは男性に対しても性差別だと思うのですがパートナーを持つ男女、どちらが「稼ぐ」役目を担っていてもその家庭でのバランスさえ取れていれば他人が口を挟むことでないはずです。
子供の行事に父親だけが出てきても父親が子供に食事を作ってもお弁当を作っても、母親が、妻が仕事に追われていても、今よりもずっと多くのひとが「あの人のおうちはそうなのね」で済むようになるといいな…と思っています。

f:id:salucoro:20140502033806j:plain

追・ちなみに「奥さん」よりも何よりも最強ワードは「社長」です。共働きで夫がどんなに小さい会社でも「社長」をやっている場合、女性の「いいわね、悠々自適で」と思われ感はハンパ無いようです。私の友人で「夫が社長」の人がいるのですが、小さい事務所の社長なんて、自転車操業、個人事業主に毛が生えた程度、事務所併設の自宅の家賃も折半だったのにも関わらず私以上に「仕事は片手間にできて羨ましい」という扱いを受ける、と言っていました。彼女のお仕事はファッション系だったので、より華やかさが悠々自適なイメージを抱かれたというのはあると思いますが。
女性でも「社長」をやっている限りは「家庭的奥さん」のイメージはつきにくいです。なので「社会的地位」を示す言葉の力は大きい、と思います。